マッチングアプリや婚活サービスが身近なものとなり、お手軽に出会えるというメリットがある反面、色々な失敗や後悔を味わったりする方も多いと思います。
今回は、恋愛ライター・毒島サチコさんのコラムから「街コン」で注意したいマルチ商法の罠について紹介します。
Sさん(仮名/26歳/会社員)の場合
Sさんは、友人と都内で行われた街コン(立食式)に参加。会場には50人くらいの男女がいて、自由に席を移動できる形のフリースタイルの街コンでした。
Sさんが参加したのは、男女ともに受付で身分証明書の提出が求められる、20~35歳以下の年齢制限の街コン。初参加だったSさんと友人は、緊張して会場の隅で飲んでいて、声をかけてくれる男性と何度か話すも、あまり盛り上がらず、もう帰ろうかって雰囲気になっていた時に『ご一緒してもいいですか?』ときれいな女性から声をかけられました。Sさんとその友人に声をかけてきた女性は、Rさん(仮名・自称31歳)。スーツ姿で高身長の女性でした。
Rさんは『友達と参加する予定だったけど、仕事で来れなくなっちゃって……。』と話し、1人で心細いので一緒に飲まないか?とSさん達を誘いました。Sさん達は、すごく感じのいいRさんと、空いている中央の席に移動して3人で飲みはじめました。
都内の人材派遣会社で働いているというRさんと、Sさん達は、すぐに打ち解けていき、最後は女子会みたいになっていました。Rさん目当てに声をかけてくる男性も多かったけど、彼女は男性の話は適当に受け流していました。Rさんは自然な流れで私たちの連絡先を聞いてきました。Sさんも友人もなんの抵抗もなくLINEラインを交換しました。
翌日からお誘いの連絡が
次の日、RさんからBBQへのお誘いLINEが来ました。お断りしても別日でまたお誘いを受けて『その日なら空いてます!』と返信したら、『仕事終わりに軽く食事でもどう?』って誘われ、Rさんと仕事終わりに飯田橋のイタリアンレストランで待ち合わせました
そこにRさんと1人の男性が現れました。男性は30代前半くらいで普通のサラリーマンに見えたようです。でも中盤、『Sちゃんって、仕事も恋愛ももっと充実させることができると思う!』と急に熱弁を始めて、Rさんも男性に出会って私は変わったという話を始めました。
そして『こういうのがあってね……』とおもむろに自己啓発スクールの案内を出してきて。恋愛にもつながるし、友人を会員に誘うと収入が入ると説明されました。ちょっと怪しいと思いつつも心が揺れたのですが、入会金が10万以上かかるため、その日は『考えます』と言って、逃げるように帰宅したそうです。
その後も、何度もリカさんからLINEが届くようになったSさん。一緒に街コンに行った友人に連絡をしてみることに。SさんがLINEを見せると『これ、絶対マルチだよ!』と言われました。友人は、大学時代に全く同じ手口でマルチの勧誘を受けたことがあるので、今回も同様の手口だと気付いたようです。
20代のマルチ商法トラブルが増加。背景にマッチングアプリやSNS
近年、Sさんのように、マルチ商法に勧誘される20代が増えています。その背景には、マッチングアプリやSNSがあると考えられ、婚活サービス経由で異性から勧誘される事例は多く、恋心を利用した極めて悪質なケースとしてたびたび話題に上がります。
特に「婚活仲間」だと思っていた同性から勧誘を受けたSさんのようなケースは最も悪質ともいわれ、同性からの好意に対しては純粋にうれしいという心の隙間にすっと入り込んでいくマルチ商法の罠に注意しましょう。